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イベント

技術課セミナー
「エレクトロニクス最先端技術セミナ
−先端研究を凝縮するオリジナルLSI設計・製作

開催要領

日時 平成17年11月22日(火) 午後1時30分より
主催 自然科学研究機構 分子科学研究所 技術課
共催 自然科学研究機構連携プロジェクト
「バイオ分子センサーの学際的・融合的共同研究」
会場 分子科学研究所 職員会館 大会議室

プログラム

13:30-13:35 挨拶
加藤清則(分子科学研究所 技術課長)
13:35-14:35 「シリコン単電子デバイスとその応用」
高橋庸夫(北海道大学情報科学研究科 教授)
14:35-15:35 「NTT研究所におけるSiバイポーラ高速デバイス技術の研究について」
小中信典(徳島大学工学部電気電子工学科 教授)
15:35-16:00 休憩
16:00-17:00 「膜タンパクバイオセンサーと電子回路」
宇理須恒雄(分子科学研究所 反応動力学部門 教授)
17:00-17:15 「大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)について」
吉田久史(分子科学研究所 装置開発室)
17:15-17:20 総括
宇理須恒雄(分子科学研究所 反応動力学部門 教授)

講演概要

「シリコン単電子デバイスとその応用」 高橋庸夫

 携帯機や体内埋め込み機器などが求められるこれからのデバイスには、低消費電力性と高機能性の両面が求められる。単電子デバイスは、電子1個をも操ることが可能な、究極の省電力デバイスとして、将来の高集積の時代への適応力を有すると共に、従来のトランジスタとは異なった機能を有する。ここでは、単電子トランジスタの特徴を概観し、より少ないデバイスで、高い機能を実現することを目標に、その特徴を活かした回路応用について示す。

NTT研究所におけるSiバイポーラ高速デバイス技術の研究について」 小中信典

 NTTが光ファイバー通信のギガビット化に向けて、実用化研究を進めた1980年代、その高速動作を担うシリコン集積回路を可能にするため、SSTというシリコンバイポーラデバイス技術を開発しました。SSTは、Super Self-aligned process Technologyの頭文字をとったもので、日本語にすると、超自己整合プロセス技術という名前になります。当時使用されていた1ミクロンの露光技術を使用して、精度よく0.3ミクロンの微細なバイポーラトランジスタを製作する技術です。その結果、従来より2倍以上の高速な増幅器、論理回路などのシリコン集積回路を作ることができ、世界に先駆けて1.6ギガビット/秒の光ファイバー通信システムを実用化することができました。その開発の内容を中心に講演を行う予定です。また、その後のCMOSとの混載技術、低電圧CMOSを利用した腕時計形簡易電話器(PHS)や指紋認証チップの開発についても、簡単に触れたい。

「膜タンパクバイオセンサーと電子回路」 宇理須恒雄

 イオンチャンネルやGPCRと呼ばれる膜タンパクは全創薬ターゲットの50%以上を占め、関連薬品の市場は年間数十兆円と半導体市場に匹敵する規模であるにもかかわらず、薬品開発に必要なスクリーニング用バイオセンサーが無いことが問題となっているのが現状である。 パッチクランプはイオンチャンネルの高感度なセンサーであるが、装置がおおがかりすぎてスクリーニングへの応用が殆ど不可能である。我々は4年ほど前から、このパッチクランプシステムの固体素子化の研究をすすめており、最近シリコン基板でイオンチャンネル電流の計測に成功している。 今後まだ、このセンサー部の研究をもっともっと詰める必要があるが、電子回路との融合も極めて重要で、この機会に電子回路へのニーズについて私見を述べさせていただく。

「大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)について」 吉田久史

 大規模集積システム設計教育研究センター(略称VDEC)は、日本の国公私立大学と工業高等専門学校における大規模集積回路(VLSI)の設計教育の充実と研究活動の推進のために東京大学で発足した全国共同利用施設です。講演では、VDECの活動およびその利用方法等についての概要を報告します。